元国税調査官が教える!税務署の税務調査とは!?

元国税調査官が教える税務調査とは私は税務署で法人の税務調査に携わってまいりました。今回は法人税の税務調査がどのように進めれるのかといった点に着目し、税務調査の一般的な流れを具体的にご説明していきたいと思います。他の税目の調査にも共通する点は多々ありますので参考にしてみてください。

 税務調査の連絡はある日突然やってくる(事前通知)

税務調査の連絡はある日突然やってきます。

税務署の調査官から、顧問税理士がいる場合には顧問税理士へ、顧問税理士がいない場合には法人の代表者宛に、調査をする旨の電話がかかってきます。税務調査が行われる場合には基本的には事前にその旨の通知があって行われます。主な通知内容は以下のとおりです。

  1. 調査を開始する日時
  2. 調査を行う場所
  3. 調査の目的
  4. 調査の対象となる税目
  5. 調査の対象期間
  6. 調査の対象となる帳簿書類等
(1) 調査を開始する日時

調査官も人の子です。この日に伺うので空けておいてください、ということにはなりません。調査官が希望する日を何日か挙げてきますので、顧問税理士と社長の都合の合う日で調査を行うことになります。どうしても都合を合わせられない場合は、無理せず都合が良い日を伝えてください。それで印象が悪くなるといったことはありません。

(2) 調査を行う場所

調査が行われる場所は、実際に事業を行っている場所になります。本店所在地で行われることが多いですが、本店所在地が登記だけで、別に事業所がある場合などはそちらで行われることになります。

なお、ほとんどの場合実地での調査は2日間で行われます。

(3) 調査の対象となる期間

直近の申告を含めて3年間となることがほとんどです。平成27年3月決算の申告書を提出している場合は、平成25年3月決算分から平成27年3月までの3年分が対象となります。調査をしている中で調査官がそれより以前の決算期分を確認する必要が出てくれば、そのときに改めて調査対象となる旨の通知を受けることになります。

(4) 調査の対象となる帳簿等

事前に準備を求められる一般的な帳簿書類の例を挙げてみました。

  • 申告書、決算書、総勘定元帳、棚卸表
  • 契約書
  • 請求書、領収書、見積書、注文書(法人が作成したものの控え、取引先から受領したもの両方)
  • 給与台帳、一人別源泉徴収簿

これ以外にも必要があれば調査の対象となります。例えば取引を裏付けるものがパソコン内に保存されている場合にはそのパソコンが調査の対象となることもあります。業種によっては工事台帳や出面帳も取引の裏付けとなる書類になりますので提出を求められることもあるでしょう。

(5) 無予告調査が行われる場合とは

これまでは事前通知の内容について解説してきましたが、事前通知のない、いわゆる無予告調査というものも実地の調査の一つとしてあります。以前は飲食業などの現金取引が主となる商売をしている法人に対しては無予告調査が行われていました。しかし、平成25年以降税務調査の法定化が行われて以降は税務署内部でも審査があるなどそう簡単には行われなくなってきています。

どのような場合に無予告調査が行われるかは条文を見てみましょう。「納税義務者の申告もしくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等が保有する情報に鑑み」て行われるとありますので、無予告調査が行われるということは税務署はそれなりの根拠を持って調査に来たと言えるのかもしれません。

 実地調査はどのように進められるのか?

会社の概況説明

調査官が会社に訪れ、最初に聞かれることは事業の概況についてです。どのような事業を行っているのか、どのようなものをどのように仕入れて、どのように売るのか、その際に作成される書類はどのようなものか、締め日や請求日、決済方法などなど調査官は真実の収入や支出を把握するには何を確認すれば良いかという視点で質問をしてきます。社長は知っている範囲のことを自然に回答し、経理関係でわからないことなどは経理担当者に代わって説明させるなど、聞かれたことに自然に答えるというスタンスになります。またそこに工場があるなどといった場合は実際に工場を見学するといったこともあります。

帳簿調査

調査官は社長から聞き取った内容を基に確認したい書類の提出を求めます。そして帳簿調査が行われることになります。確認をしているときは特に社長がその場にいなくても調査に支障がないことが多いのでここで席をはずせることが多いと思います。仕事をしていても構いません。調査官が確認の必要があれば説明を求められます。ここで過去の取引について細かく聞かれることもあります。こういった質問に回答するのが一番たいへんかもしれません。

反面調査

調査官が疑問に思った点が会社からの回答で解消されればそれでよいのですが、解消されない場合には、調査官は会社が口座を開設している銀行に行って、支払われたお金がちゃんと相手先に振り込まれているかなどの確認を行ったり、取引先に行って、取引先の帳簿を確認し、取引の整合性を確認するといったことを行います。これを税務署では反面調査と呼んでいます。

 調査の終了

調査の結果、特に問題がない場合

その時点において更正決定等をすべきと認められない旨の通知書が交付されて調査は終了します。こうなるのが望ましいですね。

調査の結果、問題がある場合

修正申告の提出が求められます。ここがわかりにくいと感じられるのではないかと思いますが、調査の結果、調査官が誤りを指摘します。しかしながらこのように修正します、とは言いません。調査官はこの内容で修正申告をする必要があると考えますがいかがですか、というように修正申告の提出を促します。なぜなら修正申告は会社側が提出する書類なのです。つまり修正申告は会社の意志で、この点が誤っていたので修正します、と言って自主的に提出するものなのです。

このようなことから調査官は会社側がいかに間違っているかを納得してもらう必要があります。税務処理は白黒はっきりしないケースもあるので、税務署側と会社側で意見が分かれることも往々にしてあります。その場合調査官、顧問税理士、社長とで着地点をさぐります。そして両者が納得して初めて修正申告という運びになります。税務署側の指摘内容ですべて修正されるといったわけではないのです。

このように調査官は調査の結果修正すべき点がある場合には、その調査結果の内容を会社側に説明する義務があり、そして併せて修正申告を勧奨します。

ちなみに双方で合意に達しない場合には税務署側が職権で申告内容を訂正します。そして会社側が不服申し立て等をして争いになります。ただし、これは相当にまれなケースです。

なお、調査の結果問題がある場合、ない場合の会社側への通知や説明の実施をすべて顧問税理士に任せることもできます。

調査の結果、追徴税額や加算税、延滞税があれば納税してすべて終了です。

 まとめ

いかがだったでしょうか。税務調査のイメージが湧いてきましたでしょうか。税務署の税務調査はすべて任意調査なので、何をするにも必ず会社側の同意を得て進められていきます。半ば強制的に調査される、なんてことは今はありません。税務手続が法定化され、税務署側も慎重に調査を行っています。構えることなく、税務調査に協力して早く終わってもらうというのが双方にとって良いことなのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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