税務調査で課せられる加算税・延滞税の計算方法のすべて

罰金解説前回記事「元国税調査官が解説!税務調査はもう怖くない!?加算税・延滞税を自動計算してみよう」では加算税や延滞税等の罰金をシステムを使って試算しましたが、今回はその罰金の具体的な内容を解説したいと思います。

 税務調査で課される罰金ってどんなものがあるの?

以前投稿した記事「元国税調査官が教える!税務署の税務調査とは!?」で触れましたが、税務調査で誤りを指摘された場合には多くの場合、修正申告書を提出してその内容を訂正します。その際に課される罰金は下記のとおり大きく二つに分けられます。

  • 加算税(国税)・加算金(地方税)・・・少なく申告したことによるペナルティ
  • 延滞税(国税)・延滞金(地方税)・・・支払われるべきお金が支払われなかった期間に課される遅延利息

 加算税、加算金とは

加算税と加算金の区分

所得税や法人税、相続税など国税に課されるものを加算税と呼び、法人の事業税などの地方税に課されるものを加算金と呼びます。加算税、加算金と呼び名は違いますが、なんの税金に課されるかが違うだけで以下説明するようにその内容は同じです。ちなみに地方税の加算金が課されるのは法人の事業税だけで、法人の道府県民税や個人事業税に対する加算金はありません。したがって、所得税と相続税の調査の場合には考慮する必要はありません。

加算税(加算金)の計算方法

1 過少申告加算税(加算金)

【内容】

 期限内に提出された申告に対して修正申告がされた場合に、税金を少なく申告していたことに対して課されるペナルティ。

【計算方法】

 修正申告により新たに納付することとなった税額 × 10%

 ただし、当初申告した納付すべき税額と50万円のいずれか多い金額を超えた部分は税額に対して15%が課されます。

例)当初申告した納付すべき金額40万円。修正申告により新たに納付することとなった金額80万円。

 40万円<50万円 ∴50万円 (当初の申告額と50万円を比較)

 50万円の方が大きいので50万円を超える部分に15%が課されます。50万円を超える部分は80万円ー50万円=30万円です。そして50万円まで10%が課されることになります。

 50万円×10% + 30万円×15% = 95,000円 

注:端数処理

加算税:計算の基礎となる金額は10,000円未満の端数を切り捨て。算出された加算税は100円未満切り捨て。加算税が5,000円未満の場合は不徴収。

加算金:計算の基礎となる金額は1,000円未満の端数を切り捨て。算出された加算金は100円未満切り捨て。加算金が1,000円未満の場合は不徴収。

2 重加算税(加算金)

【内容】

課税の基礎となる事実を隠ぺいし、または仮装して税をまぬがれようとしたときに課されるペナルティ

【計算方法】

修正申告により新たに納付することとなった税額 × 35%

以上のように加算税(加算金)には2種類あります。通常の誤りの場合は税額の10%又は15%、悪質な行為、つまり脱税には税額の35%が課されることになります。

 延滞税(延滞金)とは

延滞税と延滞金の区分

国税が納まっていなかった期間に対して遅延利息として課されるものを延滞税と呼び、道府県民税や市民税、事業税等の地方税に対して課されるものを延滞金と呼びます。呼び名は異なりますが計算の方法は基本的には同じです。(ただし、個人事業主に課される税金についての延滞金は少し異なります。「個人事業主には延滞金がかからない!?」として後述。)

延滞税(延滞金)とは

お金は銀行に預けていれば利息を生むように、持っているだけである一定の割合で増えていくものです。国や自治体が期日に手にしていれば増えていったものを、期日に手にしなかったためにその分の金額を手にし損なったわけなのでその分の金額を支払いなさいと請求されるわけです。

延滞税(延滞金)の計算方法

修正申告により納付すべき税額 × 延滞税の割合 × 未納の間の日数 ÷ 365日

延滞税の割合には2種類あります。

 1.  納付期限までの期間と納付期限の翌日から2ヶ月※間の割合・・・表の1

   2.  1.より後の期間(申告期限の翌日から2ヶ月※後の翌日以降の期間)・・・表の2

   ※ 地方税で課される延滞金の場合は1ヶ月

期間
平成28年の間 2.8% 9.1%
平成27年の間 2.8% 9.1%
平成26年の間 2.9% 9.2%
平成25年〜平成22年 4.3% 14.6%
平成21年の間 4.5% 14.6%

延滞税の割合は毎年更新されますのでこちらのページ(国税庁ホームページ)でご確認ください。

なお、延滞税(延滞金)は新たに納めるべき本税の額に対してのみかかりますので、加算税(加算金)にはかかりません。

延滞税のかからない期間がある?

申告期限から1年以上経過して修正申告があった場合には、申告期限の1年後から修正申告が提出された日までは延滞税の計算から控除されます。つまり当初の申告期限から修正申告書が提出されるまでの期間のうちで最長で延滞税(延滞金)が課せられても1年間で済むということです。下記表の「控除期間」という部分がそれに該当します。

ただし、加算税のところでふれた重加算税が課される場合には控除されませんのでご注意ください。

延滞税の割合等について具体例を入れて表にしてみましたのでこちらでこれまで解説した内容を確認してみてください。

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注:「2月経過」の部分は国税で、住民税等の地方税については「1月経過」に読み替えてください。

個人事業主には延滞金がかからない!?

調査を受けて修正申告をした場合には、国税の滞納に対して課される延滞税や法人の事業税や道府県民税等の滞納に課される延滞金は前述したように控除期間があったりしながらも当初納めるべき申告期限と同じ日まで遡って計算されます。しかし個人事業主の場合はそうではないようです。

これはある自治体に確認を取ったのですが、個人の事業税は地方税法上当初の納期限まで遡って延滞金を課すという規定がありませんので、延滞金は新たに通知される期限を過ぎた場合に初めて発生します。しかし個人の住民税については元々の納期限まで遡って延滞金を課すという規定がありますが実務上その条文と同じ条文内の規定を使って(地方税法第321条の2第4項)課していないとのことでした。よほど悪質な場合を除いてだそうです。したがって、個人事業主の方はほとんどの場合延滞金が課されないということになるようです。(念のためですが、新たに通知された納期限までに納めなければ延滞金は発生します。)加算金も課されないので、個人事業主の方が法人よりも調査の罰金という点では得をしているといえるかもしれません。

 加算税・延滞税がかからない場合がある!?

お気づきの方も多いと思いますが、加算税(加算金)も延滞税(延滞金)も新たに納める税額に対して割合を乗じて計算しています。そうです、赤字だと罰金は課されません。税務調査でどんなに指摘を受けても、それを加味してもやっぱり赤字であれば(所得がなければ)これらは発生しようがありません。したがって、修正申告をしても税額が発生しなければ赤字が減るだけで新たな税金や罰金を支払う必要はありません。

 まとめ

加算税や延滞税などのイメージがついてきましたでしょうか。

おさらいをしますと、税務調査で指摘を受けた場合には、それにより新たに税金を納めることになれば、加算税(加算金)と延滞税(延滞金)という追加の税金を支払う必要があります。加算税(加算金)の方は新たに納めるべき税額に対し10%か15%あるいは脱税をしていれば35%であり、延滞税(延滞金)は納期限から1月又は2月までは相対的に低めの利率2.8〜4.5%で、その後は約9%〜14.6%というかなりの高利率が課せられるということでした。

延滞税については地方税の場合には1月、国税の場合には2月を経過した後利率が跳ね上がりますので、本税だけは納期限までには何としても納めたいものです。

最後に今回は触れていませんが、法人の場合は、ある支出が給与であると認定を受けた場合に不納付加算税というものが課されます。こちらはいずれ解説できればと思っております。

さて、税務調査で課される罰金がどれくらいのものかわかれば、実際に計算するというのはシステムに任せましょう。前回記事「元国税調査官が解説!税務調査はもう怖くない!?加算税・延滞税を自動計算してみよう」でお伝えしているように「侍追徴税額計算という計算ソフトで簡単に計算できますので、実際の計算はこちらをご利用ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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